「レオみちゃん、結婚しない?」
私の職場での話。
とある日の仕事終わりに、私と同僚のカオリ(#19にも登場)とグラマラスボディで数ある男を落としてきた生きる伝説、先輩マネージャーのマチコと飲むことになった。
伝説のグラマラスボディ、マチコ。
・職業:マネージャー
・年齢:推定40歳
・特徴:Hカップの爆乳、母性に溢れている。
・特技:おっぱいで割り箸を飛ばすこと。
・星の数ほどの男を乳パワーで落としてきた。
同じ話を何回も話すのが日課のマチコ。
いつも笑顔のカオリもそんなマチコの過去話を聞いてる時だけは目が死んでる。
そんな2人を見るのがこの飲みの場での楽しみの一つなのだけれど、仕事終わりのクタクタモードの私はあまり楽しむ余裕もなく、今日はどの話をしてくるのだろうと内心ワクワクしながらも早く帰って寝たいなーって思っていた。
私、4月から日本にちょくちょく帰るんだ・・・・
少し悲しそうな声で突然言われた。
家族の事情でね・・・・。だから、この職場にも多くて週3くらいしか出勤できなくなるのよね。
いつもの武勇伝を予測していた私とカオリ。
突然のことで2人ともどう反応したらいいか分からず、とりあえずうなずくしかなかった。
マチコ曰く、日本に頻繁に帰ることになるから別の新しい仕事を始めるらしく、4月から今の職場の出勤回数を減らすことになるため、人員を増やさないといけないらしい。
だけど、私たちの職場は今まさに色々な問題が山積みになってる最中。
スタッフの退職や不満、人員不足、安月給。
そして、良い人材を確保できないにもかかわらず、確保する以前に数少ない良い人材が退職してしまい、新しく入った人が職場についていけず辞めてしまうという負のスパイラルに陥ってる。
その状況に四苦八苦しているマチコなのだが、その状況を作り出してしまったのは彼女自身。
なぜなら、マチコが職場が抱えてる問題をこれまで1人で解決してきてしまったから。
人が少ないなら、マチコが2倍働けばいい。
人が不満を言うなら、その代わりにマチコがやればいい。
マチコ自身が犠牲になることでなんとかこの職場は回っていたのだ。
それに、運よくギリギリ運営できるくらいの良い人材には恵まれ、そして彼らのおかげで最高益を毎月叩き出していた。
だから、マチコの中でもこのままで大丈夫っていうのがあったのだと思う。
だけど、マネージャーである彼女が、「スタッフの不満や退職、安月給問題」について何も打開策を打たなかったのが一番の問題だったということにマチコは気が付いていなかった。
いや、気が付いていながらも見て見ぬふりをしていたのかもしれない。
そんなマチコに嫌気をさして、数少ない優秀なスタッフの内の1人のカンキチ(#19に登場)が、4月を持って退職することになった。
そんな矢先にマチコが出勤日数を減らさないといけなくなったのだ。
正直、マチコが居なくなると今の職場は存続が厳しくなるだろう。
だから、なんとかしてでも今の職場の存続を維持しなければいけないとマチコは思ってる。
ただ、残り数ヶ月でいい人材を確保できるとも思えないし、これまで蓄積してきた山積みの問題を瞬時に解決できるわけもなく、最悪なシナリオとして今の職場が終了してしまうかもしれない未来にマチコは焦っていたのだ。
私のVISAの期限はあと数ヶ月。
正直に言うと私は蚊帳の外にいると思ってる。
私はどうせ去る身だし、もともとこの職場にそんなに愛着なんてない。
たくさん貢献をしてきたにもかかわらずずっと安月給のままだったし、たくさんのカバーもしてきたにもかかわらず、それに対して大して評価されることはなかった。
だから、どちらかというと少しだけ憎いし、それなりに不満もある。
ただ、自由に仕事ができて、自由に休みが取れて、自由に自分の好きなことができたからこれまで続けてることができた。
それに、最後にいろんなところに旅行に行くつもりだったからVISAの期限ギリギリまで働くつもりもなかったし、来月からは伸び伸びとラストスパートに向けてイギリス生活を満喫しようかなと考えていたところだった。
だから、マチコには申し訳ないけれどもそんな話を聞きながら、私は、
あー、次の旅行はどこに行こうかしら♡
イタリア縦断なんて魅力的だわ♡
・・・そんなことを考えていた。
レオみちゃんが居てくれたらな・・・・
ふと漏れたマチコの心の声。
突然のラブコールに動揺を隠せない私。
私のVISAも残り数ヶ月。
そんな現状をもちろんマチコも分かっているはず。
だけど、それでもマチコの代わりになる人がどうしても欲しくて、心の声が出てきたのだろう。
少し話は変わるが、
私がイギリスに残る選択肢というものについて少しだけ考えてみた。
イギリスが大好きなわけでもなく、イギリスでこれがしたいっていう目的があるわけでもない私だけれど、もしイギリスに残ることができる可能性があるのなら、私はそれを掴み取りたいと思うのだろうか。
結論・・・分からない。
別の国に行ってやりたいことがあるわけでもない。
それにイギリスを離れて新天地でまた1からスタートすることの大変さ。
ただ日本を離れたいだけを理由に別の国に行こうとしている私。
色々なことを考えると、この国に残る方が恐らく自分にとってはいいのだろう。
とりあえず、イギリスに残る方法についてネットで調べてみた。
①VISAを出してくれる会社で働く
②イギリスに住むことができる人と結婚する
③同じくパートナーシップを結ぶ
④投資家
⑤学生
ざっくり調べてこんなところだった。
可能性があるとしたら、③か⑤だと思った。
③について言えば、今のルームメイトにしばらくの間パートナーになるように(とりあえず)お願いすることはできる。
もちろん、相手がどんな反応を示すかは分からないけれど。
⑤については、お金は結構かかってしまうが学生に戻るという手だ。
卒業後は2年間の在留資格も手に入る。
ただ、その費用は庶民にはとてつもない金額だった(500万くらい)。
イギリス在住の友達曰く、イギリスに残るために②や③の選択肢を取る人がやはり多いらしい。
本当にパートナーとする人もいれば、友人に頼む人もいたり、さらにはお金で解決する人もいるようだ。
そんなの普通だよって現地の友達が言っていた。
レオみは真剣に考えた。
真剣に考えてレオみは決めた。
ルームメイトにお願いしてみようと。
思い立ったが吉日。
早速ルームメイトにLINEで連絡してみた。
私とパートナーになってくれない?
突然のLINE。
突然の告白。
どんな回答が来るのだろうかと少しだけドキドキしたが、
「いいよ♫」って速攻で返信が来た。
まさかのOKに一瞬だけ表紙抜けしてしまったレオみちゃん。
軽いわね・・・。笑
そんなことがあったことをマチコにも話をしていた。
マチコも「彼にお願いできるならしてみればいいじゃん、イギリスに居れる方法があるなら全力で掴みにいきなさい!」って言ってくれた。
確かに、イギリスに居れる方法があるなら、私がイギリスに居たいと思うなら、全力で掴みに行くべきだと思った。
後から知ったことだけど、パートナーシップを結ぶには、2年間のカップル証明というものが必要になるみたい。
私たちにはそれを証明する物がない。
ただの仲のいいルームメイトぐらいで、一緒に住んでるだけというぐらいだから。
そんな簡単にはいかないわよね・・・。
そんな話にも親身なって聞いてくれるマチコ。
話のほとんどがマチコの話だけれど、時たまこちらサイドに有益な情報をもたらしてくれるマチコ。
大きな乳をユサユサさせながら仕事をするマチコ。
母性本能に溢れるマチコ。
後輩にとても優しいマチコ。
悩みがないことが取り柄のマチコ。
そんなマチコがその日は結構落ち込んでいた。
路頭に迷うとはまさにこのことだろうと思った。
レオみちゃんは彼(ルームメイト)とはどうなったの?
やっぱり、パートナーシップを結ぶのは難しいみたいです。2年間の証明ができないので。
そっかー、もういっそのこと結婚したらいいのに。
結婚の場合は2年間の証明も必要なく、簡単な手続きだけで結婚ができるみたいだ。
結婚は流石に・・・・
そう?お相手さんが問題なければ、結婚するのもありだと思うけどね。それにもしお互いに好きな人ができたら別れたらいいだけの話だし。
それは確かに・・・・
まー、それはレオみちゃんが決めることだから、残りたいならそういう選択肢もあるわよってこと。
そんな話を少しだけして、その後はまたマチコの独壇場になった。
過去の武勇伝を1人語り。
私とカオリは2人して苦笑いを浮かべて話を聞いていた。
「この話何回目だろう・・・?」
って2人で目を合わせながら心の中で会話してた。
どんどんマチコの口に酒が入っていく。
豊満なボディに流れていくお酒。
乳を揺らせながら豪快にお酒を飲み干すマチコ。
ふと時計を見ると23:50。
そろそろ終電の時間だ。
「そろそろかえります。」と言って席を立とうとした。
そんな矢先、
突然マチコがこう言ってきた。
レオみちゃん、私と結婚しない?
私と結婚したら、イギリスに住むことができるし、私は今の彼氏とは後数年は結婚する予定がないし。それに、結婚の手続きが完了するまで、ここでこっそり働いてもいいし。結婚VISAが取れれば、レオみちゃんどこでも働くことができるわよ。
突然のことすぎて、何も言えなかった。
この提案にどんな意味があるのか。
お互いにメリットはあるのだろうか。
恐らくマチコは私がしばらくこの職場にいて欲しいが故に提案してきたのだろう。
確かに私にとってはイギリスに滞在できて仕事も探すことができるわけで、それに婚活だってできる。
メリットが大きい。
だけど、それにしても提案内容が不釣り合いすぎる。
もちろん、私の中で”Yes”という選択肢はないのだけれど、
彼女がなぜそんな提案をしてきたのか不思議で仕方なかった。
だけどそれと同時に、イギリスに残るにはもう結婚をする以外に選択肢はないんだと悟ってしまった。
そして、誰かととりあえず結婚するのもありなのかもしれないと、そう思った私。
もちろん理想を言えば、好きな人を見つけて、好きな人と結婚することが最高の選択なのだけれど、現実はそうも簡単にはいかないわけで、どこかで妥協も必要だし、自分の未来を考えた時に何が最善かを考えて答えを出さなければいけない時もある。
自分の最善の選択はまだ決めきれてないのだけれど、時間もそんなに残されてない今、私にとって何がベストかを考え・選択しなければいけないのだなと思った。
絶対ないことだが、もしかしたら気が変わってマチコと結婚してるかもしれない。
ただ、イギリスでは結婚するなら、ちゃんと式をあげないといけないみたいだ。
それを聞いて、
マチコと2人で式をあげてるところを想像してみて、「ふっ」って笑が溢れてしまった。
マチコと私のウウェディング姿・・・・。
・・・・シュールだな。
レオみちゃん☆
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